うまくいかない日のコーヒー【セフィザ】

セフィザ

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■SERIOUS●SHORT
うまくいかなくてセフィに愚痴るザク。セフィのアドバイスとは?
辛い時や落ち込んだ時には…♪


うまくいかない日のコーヒー:セフィロス×ザックス

「あ~はいはい。もうね、最悪!今日の俺は最高の運勢ですって出てたのにさあ…ったく、あんなの絶対ウソだよな!?」

「ザックス、お前が占いを信じていたとは笑撃の事実だったぞ」

「笑撃ってなんだよ、笑撃って!」

ザックスは一通りセフィロスに愚痴ると、ぷい、と脇を向いてしまった。
相当怒っているらしい。

まあ、ザックスが怒っている理由というのは、正直たかが知れた内容だった。
というより、本来ならばお門違い、という内容である。

要は――うまくいかないから。
それだけだ。

それを知っていたセフィロスは、リフレッシュルームで出されるコーヒーを一口喉に流し込むと、まあ、と窘めるように口を開いた。

「仕方ないじゃないか。そういう日もある。拗ねたところでなにも始まらんぞ」

「誰も拗ねてないし!」

「ほら、そういう物言いが世間様じゃ拗ねてるというんだ。大体お前もう…ええと…」

「18!」

「…だったらもう大人だろう。落ち着け」

「そら…俺だってそうしたいけどさ!」

そういうわけにもいかない――というのがザックスの言い分である。
もし、どうにかしようと思ってどうにかできていたら、もうとっくにそうしているだろう。

しかしそれができないからこうしてわざわざセフィロスに愚痴っているのだ。
まあ、そうされているセフィロスの方はたまったもんじゃないというのが本音なのだろうが。

「なあ、ザックス。天気なんかの自然現象や、世の中の理……それから他人の心。お前、そういうものを自分の力でコントロールできるか?」

「へ?できないにきまってんじゃん…」

「だろう。だがお前は、お前の感情だったらなんとかできるんじゃないか」

「そりゃ……」

他人の心に比べればコントロールできるにきまっている。
そうは思うけれど。

「それが、自分が自分である特権ってやつだ。その特権を行使しないでどうする」

「そんなこと言われたって…」

「他人があれをした、これをした。何かがうまくいかない、思い通りにならない。そんなことをいちいち気にするということは、お前はその特権を無視して、”自分の気持ちを他人任せにしてる”ってことだぞ?悔しくないのか?」

「そ…そりゃ…。でも俺、今までそんなふうに考えたことなかったし」

「そうか。じゃあ今日からそう考えろ。いや、今すぐここでそう考えろ」

「は…はい……」

セフィロスの強い語調に思わずそう頷いてしまったザックスである。
しかしまあ、悪い考えではないな、などと思う。
確かにそう考えれば、ザックスの負けず嫌いな性格上、なにくそ!と思うはずだから。

「セフィロスってさあ」

「何だ」

「たま~にいいこと言うよな!」

「…何だその、たま~に、というのは」

俺はいつでもいいことを言っている。セフィロスは憮然とそう言い放つと、空になったカップをザックスにひょい、と差し出した。
それを見て、ザックスは首を傾げる。

「…なにこれ?」

「おかわり」

「…は?」

「だから。おかわり」

「…はああああ!?」

「悩みを解決してやった俺に謝礼としてコーヒーをおごれ」

「な、なななな…っ!」

――――もう!そーいうとこ余計なんだよ、セフィロスは!

ザックスはぶつぶつ言いながらコーヒーのおかわりを注ぎに、席を立った。
そして、セフィロスのためのコーヒーをとぼとぼとつぎながら、ちょっぴり思う。
こんなふうにセフィロスに文句を言いながらも、そんな自分は結構、嫌いじゃない。

つまり、それが本音だ。
自分で自分を行使した……その結果だ。

「…やっぱあの占い、当たってたのかな」

黒いコーヒーの表面には、すっきりと笑ったザックスの顔が映し出されていた。

END

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