Diary of CLOUD / 俺を笑う?
『どうした?暗~い顔なんかしてさ』
訓練後にたまたま会ってそう話しかけてきたのはザックス。
ソルジャーなのに、ザックスは身近な存在なんだ。
不思議だと思う。何で俺なんかに親しくするんだろう?
でも俺はそんなザックスが結構好きだ。
大体のソルジャーは、訓練生なんかには目もくれないのに、
ザックスだけは違ったから。
『しかし何だなあ。ほんっと此処はムサ苦しいったら』
華が欲しいよなあ、なんて言いながらザックスはブツクサと文句を言う。
そういえばこの前は、「ナンパしに行く」ってどこかに行ってたよな?
俺がそう言うと、ザックスは笑った。
『そうそう!ナンパね、行ったよ。こういう時、ソルジャーの身分は良いぜ』
お前も早く試験受かると良いな、と続ける。
そう、ソルジャーは神羅の出入り自由だから、
どこかに行きたい時はすぐに外の世界に出れるから良い。
それに比べて訓練生は身動き出来ないから。
『お前、彼女いないんだっけか?』
そんな事聞くほうが間違ってるよ、ザックス。
だけど変なんだ、体の関係だけはあるんだよ。
おかしいとしか言い様が無いだろう?
しかも相手はザックスと同じソルジャーなんだよ。
そう言ってしまいたかったけど、そう言えば俺だけじゃなくあの人も…。
あの人は何のために俺を抱いたりなんかするんだろう?
ザックス、聞きたい事があるんだ。
ザックスはどういう時に…。
『は?何でヤりたくなるかって?』
ザックスは可笑しそうに笑う。
俺は真面目に聞きたいんだよ、ザックス。
『そりゃ、溜まってたら…なあ?まあ相手が好きだからっていえれば一番良いかもしんないな。
でもソルジャーなんて命の保障も無いじゃんか?だったら…もっと後腐れ無い方が良いのかも』
それはつまり、相手を好きでも何でも無いって事?
俺がそんなふうに聞くと、ザックスは「そうだな」とキッパリ言ってのけた。
じゃあ、もし目の前にそういう存在があったら。
それならザックスはどうする?
『相手には悪いけど本心は、好都合って所かもな』
好都合?
そうなんだ、分かってた。俺は何を期待してたんだろう。
あの人の誘いに、何か意味があったら良いと思ってたのかもしれない。
馬鹿げてるよね?
どうせ意味なんて無いんだ。俺はただの玩具か何かなんだから。
『それにしても、何でいきなりそんな事聞くんだ?』
不思議そうにザックスがそんなふうに俺を見てる。
何でも無いんだよ、ザックス。
だって言ったら、ザックスは俺を軽蔑するに決まってる。
それどころか怒るかもしれない。
ねえ、俺は知りたいんだ。あの人の心の中を。
どう思って俺を抱くのか。俺を見下ろして何を考えているのか。
俺にはさっぱり分からないから。
だけど、はっきりしてる事もあるんだ。
あんなに「酷い」と思うのに、それなのに。おかしいんだよ、ザックス。
頭が変になりそうなんだ。
「ありがとう、ザックス」
俺は、それでもあの人が好きなんだ。
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