65000ギルの憂鬱(1)【ヴィンクラ】

ヴィンクラ

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  ■POP●MEDIUM 

クラウド率いるパーティは貧乏だった…リーダー・クラウドの悩みは重い!?

65000ギルの憂鬱:ヴィンセント×クラウド

 

「駄目だ…金が…ない…!」

ある日のこと、クラウドは悲劇のヒロインの如くそう言ってガクンと肩を落とした。

そう――――クラウド率いるパーティは……

ビンボーだった……。

 

 

 

その事実が発覚したのは、ある夜のことだった。

パーティの大事な財布を覗いたクラウドは、そこにあるギルを見て相当なショックを受けた。

なにせそこにあったのは――――500ギル。

「ごっ!…500!?」

ちょっと待て。

そう思っても金が待ってくれるはずもなく、クラウドはしみじみそこを見つめた。

どう見ても500ギル。

何度見ても500ギル。

――――そんなわけで、クラウドは一冊のノートとペンを購入した。因みにこれで計50ギル使ったので、残金450ギルである。

そのノートが何かと言えば、俗に言う帳簿だった。用意周到なことに光熱費だとか交際費だとかいう欄があるが、それは使わないので、クラウドは別の項目を作る事にした。

そう……仲間の名前の項目である。

誰々の武器を買うと、その誰々の所に値段を書き込むという感じで、共同の薬などは「皆」という欄に書き込んでいく。

そういえば此処最近、防具の買い替えなんて殆どしてないクラウドだったが、どうやら皆はピカピカしたものを使っている気がする。

――――という事は。

「勝手にギルを使ってるに違いない!!」

という事になるわけで、これはハッキリ言ってボロボロのものを使い続けているクラウドには許すまじ事態であった。

そんな訳で500…いや450ギルからスタートしたその帳簿は、クラウドによって管理されることとなったのだった。

 

 

 

さて、一番最初に必要になったのは薬だった。

しかし此処で勘定奉行クラウドは言うのである。

「ケアルを使え、ケアルを!」

それに文句を言う平民(?)達。

「えーケアルだって。誰か回復マテリア付けてる?」

「オレァ、付けてねーぜ?」

「あたしも~つけてなぁい」

「私も付けていないな…」

「って事は…」

一同、クルリとクラウドを振り返る。そう…現在回復マテリアを付けているのはクラウドだけだったのである。

「なっ…!仕方無いな、分かったよ、かけるよ」

自分しか付けていないから仕方無い、そう思ってクラウドは渋々ケアルをかけた。

かけられたティファはニコニコ、HP-MAXに回復。クラウドのMPは消費してDOWN。取り敢えずこれで薬は買わずに済んだ。

しかし―――――オカシイ。

何がってそう、回復マテリアを付けているのが自分だけというのがオカシイのである。確か以前は3つ程あったような気がする。しかもそれはこの時期にはもう完全マスターしていた筈だ。

それが何故に1つ……??

―――――どう考えてもオカシイ…。

「なあ…回復マテリアって、3つ無かったっけ?」

そうクラウドが疑問を口に出してみると、ティファは「何言ってるのよ~」なんて言って笑い出す。何がそんなにオカシイのかと思っていると、どうやらこういう事であったらしい。

「クラウド、お金無いって言って、この前売ってたじゃない」

「!!!!!!!!!!!」

―――――何と!!

まさか自分で売り払っていたとは思わなかった。

しかし…待て。

マスターマテリアを2つ売ったという事はかなりの大金のハズだ。それなのに今は450ギルしかないとはどういうことだろうか?

「待て待て待て…だってマスターマテリア売却値50000ギル×2だから…100000ギルあったって事だろ。で、今450って事は100000ー450で残りは99550だ。って事はオレはそんなに使ったって事か!?」

ちなみに、その内50ギルは帳簿+ペン代である。

しかしそれを引いたって99500ギル……一気にそんな減るものだろうか。いや、まず無いだろう。

という事は、やはり誰かがいつの間にか使ったに違いない。

「ううむ…」

クラウドは唸った。唸りながら皆の姿をチェックする。

―――――ティファの髪のキューティクルが妙にイイ。

―――――シドの煙草の銘柄が(良い物に)変わっている。

―――――バレットのご自慢アームがオカシイほどピカピカだ。

―――――ユフィの防具はあんなに高級そうだったか?

―――――ケット・シーは別に変わってない。

―――――ヴィンセントも変わってない。

「ううむ…」

どうもアヤシイ。どうもオカシイ。

しかしとにかく今は金が無い。という事は金を作る必要がある。

しかしどうだ。此処でちまちまと敵をやっつけて『○○ギルを手に入れた!』なんてやっていようものなら莫大な時間がかかる。

かねてからクラウドが欲しがっていたある武器は、おおよそ65000ギルはする。それが有れば戦闘だってウハウハなのに―――――でも金欠だ。

ザ・貧乏。

ザ・涙。

―――――という訳であるからして、クラウドはとにかく金を貯める術を考えた。

先ほど教えて貰ったことからするに、マスターマテリアを売るという方法が一つある。しかしマスターマテリアは貴重でもあるだろう。まあ「子供」を産んでくれるからまだ良いが。

「マスターマテリアあったっけかな…」

売るものを探すようにマテリアをゴソゴソやりだしたクラウドは、奥底にマスターマテリアを見つけた。それはどうやら炎マテリアらしい。

「あ、これでいっか」

単純にそう考えたクラウドは、その炎マテリアをガッツリと掴み、売り捌くことを決めた。

その炎マテリアは一応50000ギルというお値段で売れた訳で、クラウド一向は懐がホカホカになったものである。

とはいえ、何せクラウドが欲しい武器は65000ギルはするシロモノ……しかもそれだけの大金をはたくとなれば、皆に「すみません。オレ買います」と宣言し一週間はアッシー覚悟である。

そういうデメリットを踏まえても、まず何しろ15000ギルは足らない。

これは如何したものだろうか?

「あと15000ギル…敵を滅多撃ちにでもするか…?」

そう思ったクラウドだったが、そんな甘い考えは通用しなかった……そう、あの強者の仲間たちには。

何しろ――――今50000ギルあるのだ。

皆がそれを見逃すはずは無かった。

 

 

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