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ザックスってたんぽぽっぽいよね、というクラだが…?
たんぽぽ:ザックス×クラウド
花にたとえるなら、たんぽぽかな?
そう言ったら、え~!?って、嫌そうな顔してた。
「たんぽぽってお前、分かってる?あの黄色い花だぜ?ないないない、絶対ない!俺はたんぽぽってタマじゃない!」
「そうかな?でも、太陽に向かって咲くってあたりがぴったりだと…」
「ばっか!お前それ、たんぽぽじゃなくてひまわり!」
「あっ、そっか!」
俺は自分の間違いに気づいて、慌てて「そうそう、ひまわりだよ」と訂正した。そうだよな、たんぽぽとひまわりじゃ大違いだ。
ザックスは、花にたとえるなら、ひまわり。
俺はそんなふうに思ってた。
あの黄色い、オレンジ色の花は、なんだかとても元気なような気がして、いつも太陽を見てるあたりもぴったりだと思ったんだ。
まあ、それにしたってこんなことを話題にしているあたりが珍しいかもしれない。普通だったら、男に向かって、花にたとえるならこれだな!なんていうことはないだろう。
そもそも何で花の話しになったんだっけ?
――――ああ、そうか。
この町には花が咲かないから。
だから、そんな話題になったんだっけ。
俺の故郷にはそれなりに緑があって、それなりに花が咲いていたっけ。ザックスが言うには、ザックスの故郷もそれなりに自然が豊かだったらしいけど、それほど緑豊かという感じではなかったらしい。
でも、それにしたって、ミッドガルよりはマトモだ。
だってここには機械しかないから。
「いつか、ミッドガルにも花が咲く日が来るのかな」
何ともなしにそう言うと、ザックスは笑ってこう言った。
「来るさ!いや、絶対そうしてやる!それはきっと、俺達にしかできないことなんだぜ?」
自信満々にそう言うザックスを見て、俺は何だか嬉しくなる。
そしてやっぱりザックスは、ひまわりのようだと思ったんだ。
俺はひまわりを信じていたけど、ひまわりは太陽が無ければきっと死んでしまうんだ。俺はそれに気づいてなかった。
なあ、ザックス。
ザックスにとっての太陽は、何だった?
それともザックスの信じてた太陽は、神羅が作った偽りの太陽だったのかな。だからザックスは、その偽りに気付いて、太陽じゃないことを知って、その生命力を失くしてしまったのかな。
なあ、ザックス―――――。
あれから随分経ったのに、やっぱり此処には、ザックスみたいなひまわりが咲かないんだ。
だけど、一つ、笑い話がある。
あの時俺がひまわりと間違えた、たんぽぽが、咲いてるんだ。
雑草の脇に、申し訳なさそうに咲いたたんぽぽ。
それは、広大な土地の中ではあまりにもちっぽけで、やっぱりザックスっぽくないなって思ったよ。
存在感のある雑草の脇でこじんまりしてるから、いかにも脇役っぽくて、やっぱりザックスっぽくないなって思ったよ。
だけどザックス、たんぽぽの最後を知ってる?
まあるくて透明な姿になって、最後には多くの種を飛ばすんだ。
風に吹かれて、いっぱいの種が空に飛んでいくんだ。
そうしてその種はいろんな所に新しい命を作るんだ。
俺は種の舞う姿を見て、考え直したよ。
もしかしたら、俺があの時間違えたたんぽぽは、強ち間違いじゃないのかもしれない、って。
ザックスの笑顔が周りの皆を笑顔にしたように。
きっとこのたんぽぽの種は、誰かを笑顔にしていくんだ。
こんなの聞いたら、きっと嫌がるね。
分かってるよ。それで良いよ。
俺は、空中に舞うたんぽぽの種を見ながら、いつか尊敬し愛した大切な人を思い返していた。
それはとてもとても小さな花。
雑草にさえ隠れてしまいそうな小さな花。
けれど、ひまわりと同じ太陽の色をした、花だった。
END