「どうだあ?男としてこれほど屈辱的なモンもねえだろ」
バレットの放ったその言葉は、バレットの行動に伴っていた。
クラウドの体を押さえ込んでいるのとは反対の手が瞬時にして下半身へと伸ばされる。背後から回すように入り込んだその手は、分厚い皮の中にクラウドの性器を握りこむと、容赦の一つもなくそれを摩擦し始めた。
「や…やめろっ!」
突然のその行為に焦ったようなクラウドの声が響く。それはシャワーのザアアアという音の中でも際立つように響いていて、その焦りの調子はバレットを満足させていた。
やめろ、そういわれる度に満足が肥大する。
それと同時に、何故だか妙な興奮を覚えた。
目の前にある体は確かにクラウドのものだったが、バレットの体からしてみればそれは女のそれと同じように細いと表現できる域のものだ。しかもその背中はスラリとしていて傷一つなく、いかにも生々しい白さを見せ付けてくる。
「へ…っ…」
何だかヤバイな、そう思う。
こんな湯気の立ち込める中だというのに何時の間にか乾いてしまったらしい唇に、知らずバレットは舌を這わせたりする。
それを目に映していたらしいクラウドは、何かを感じ取ったのだか手足をバタつかせた。
「離せ!離せよ、バレット!」
「あああ~うるせえな!少しは黙ってろよ!」
畜生、そう続け様に叫んだバレットは、ともかく手足をどうにかしなければということを考え始めた。バタバタされては困る、ということは押さえつけなければならない。しかしどうやら肝心の手は塞がっているし―――――…となれば。
「おう、良いヤツがあるじゃねえか」
チラと見遣ったシャワーの下に発見したのは、体を洗う為に置かれていた数枚のタオル様のものだった。その隣に石鹸や洗髪液などが綺麗に並べられている。
バレットはその中のタオル様の物体に手を伸ばすと、一気にクラウドの手を縛り上げた。その上もう一枚を手に取ると、今度はそれを蛇口に括りつける。
そうして二枚のタオル様のものは、クラウドの両手を不自由にさせると共に体を固定させるに至った。これでもう手は動かない。
「ふ…ざけるな!バレット、お前…!!」
執拗な目線でクラウドの肢体を見遣っているバレットに、今や自由を奪われたクラウドが叫ぶ。しかしそれはバレットにしてみれば小さな呟きと同じ程度の効果のものである。
「おい、足はまだ動くよなあ?」
「なっ…!」
「こんなんじゃつまんねえだろ?お前、こんなんだもんなあ、クラウドよお」
そう言って、バレットは指の先でクラウドの性器の先を突付いた。
それは、先ほどの僅かな摩擦で興奮を得たらしく中途半端に勃起している。
指摘されてやっとその事を理解したクラウドは、はっとしたような顔をすると、その次には視線をずらして唇を噛み締めた。無理に摩擦されただけなのにそうなってしまった事が、クラウドに羞恥心を覚えさせたのである。
仲間とはいえ、ただの他人であるバレットにそんな状態を見られるだなんて。
「クール・無口・その上生意気…そんな男でもさすがにこれだけは耐え切れねえか?」
「…っ」
屈辱に顔を歪ませるクラウドをよそに、バレットはクラウドの片足だけを持ち上げ、それにまたタオル様のものを縛り付けた。そうしてその片足をバスタブの中へと放り出すと、排気口とその蓋とを結ぶチェーンにそれを括りつける。
まるであられもないその様に、バレットは満足そうにフン、と笑った。
「お前には一度言っておきたかったんだがよう、もう少し殊勝な態度ってのを知らないのかよ。仮にもお前はつい最近アバ……」
「うるさい!」
「―――あぁ?」
「…黙れ。黙ってこれを外せよ」
どう考えても不利なその状況でさえそうしてクール振りを発揮するクラウドに、バレットの怒りが上昇しないはずはない。此処までの恥辱を与えて、それでも尚そんな事を言うなんて、余程のバカじゃないかとさえ思う。
しかしそうしたクラウドの態度が、此処までで観念してやろうとしていたバレットの気持ちをプッツリと途切れさせた。
――――――その口が、どこまで続くか?
そう思った瞬間、バレットは右の手に石鹸を取った。
当然その動作はクラウドの目に入っていたが、それでもすぐに視界から消え去ったそれにクラウドは再度緊張を高めることになる。
しかし、その得体の知れない緊張はすぐさま別のものへと姿を変えた。
「…ぃつ!」
声にならない声を上げたクラウドの身を襲ったのは、奇妙な感触。
今や大開きにされたクラウドの股間、中途半端に勃起したその後方に伸ばされた手は、締まった尻肉の間を割って入る。
その奥に突きつけられたものは、先程バレットが手にした石鹸だった。
それは泡立ち、頑なに拒否をするはずのそこに僅かながらの潤滑を与えている。
だからなのか、バレットの太い指先は奇妙なほどズッポリとクラウドの中に入り込み、その奥を容赦なくかき回した。
「あっ…く…っ」
体を防ぐこともできず、拒否もできない。
それどころかその表情全てを曝け出す状態になってしまったクラウドは、更に追い討ちをかけるかのようなバレットの指の動きに耐え切れない声を漏らす。
悔しくて唇を噛み締めているのに、その口端からどうしても漏れてしまうその声は、貶める為に動作を続けているはずのバレットの意識を掠めていった。
クラウドの口から漏れるのは、今やあの生意気な言葉ではない。
むしろそれは…。
「…へっ」
固定されていない方のクラウドの足、それをがっしりと自身の足で押さえたバレットは、クラウドの奥をかき回すその指に力を込めた。
先程もそうだったが、妙な興奮を覚える。
当然だろうが、今迄こんなクラウドは見た事がない。未だ悔しそうな顔をしているものの、それでもそこから聞こえるのは最早違う意味での声なのだ。
そういうクラウドを貶めているという事実、そしてある種の支配をしているという事実は、バレットの興奮を目に見える形で表していく。バレット自身も信じられないことだったが、下半身は確実に膨らんでいた。ぴっちりとした服の中で勃起をしたそれは、窮屈な上に服地に擦れて痛い気さえする。
それを感じると、クラウドを犯す手はもう止まりそうに無かった。
「あっ、や…やめっ…あ…っ」
悔しそうな中にも懇願するような色がチラ付く、そんな声音にバレットは笑う。
「やめれるワケねえだろ」
お前だってそうだろが、そう言われて答えられるはずもないクラウドは、俄然続く指の動きにきつく目を瞑った。けれどそうして目を瞑ってしまうと、泡のせいでぬめぬめとしたそこを弄られる音が、体の中から伝わってくるようで何だか嫌だった。
とはいえ、バレットの動きは止む事がない。
ぬめるそこを執拗なまでに弄くると、今度は乾いた指を押し入れてくる。内肉に阻まれるのを強引に捻じ入れると、体液を絡めるようにぐちゃぐちゃと動かし、それをまた出し入れしたりした。
「足りないだろ。あぁ?」
「や、や…めっ、あっ…」
「何だぁ?聞こえねぇなあ?」
へっへっ、そう笑いながらクラウドを弄ぶ指を激化させていくバレットは、再度乾いた唇を湿らすように舌を這わせると、先程から我慢を続けていた自分の下半身に手を伸ばした。
ジッパーを下ろしてやると、やっと解放されたというように勃起し膨れ上がったものが飛び出してくる。
マリンを連れるようになってからというものさして性欲など感じないようになっていたバレットにとって、興奮剤を得ての勃起は久々のことだった。バレットのそれは体格と比例した巨大さで、興奮を得て膨張した為にそれに更なる拍車をかけている。
バレットはそれを、太い手で擦り始めた。
「へっ、待ってろよ。もう少しコイツを興奮させてやらねえとよぉ」
「っつ…!」
その動作はクラウドの目に入り、クラウドの顔を引きつらせる。
何をされるのか、それはその行動で良く分かるし、何よりそんな巨大なものが自分を襲うのかと思うと気が気じゃない。それに、そんな事は何よりも勝る屈辱である。
しかしそんなクラウドの感情を逆撫でするのを愉しむかのように、バレットはそこそこの所で摩擦を止め、それをようやくクラウドの前に突き出した。
膨張しきって反り返ったものは、もう既に先走る液体を滲ませている。
「お前もまんざらじゃねえんだろ。お前のもビンビンじゃねえか。ほら、見てみろよ。乳首まで勃っちまってるぜ?」
「…はっ、だ…だま、れ…っ…」
その口がどこまで続くか、またそんな事を考えながら、バレットはとうとうクラウドの体内からすっぽりと指を抜き去った。そうして、せせら笑いながら宣告する。
「もっと愉しませてやるぜ。なあ、クラウドさんよぉ?」
「はっ…ぐっ、ううっ!!」
そう言うなり、クラウドの身体に痛みが走った。
先程まで散々に弄られていた部位に、突然のように巨大なものが差し込まれる。それは当然すぐには入り込むことはできず、クラウドに軋むような痛みを与えながら無理矢理押し込まれた。違和感は違和感でも、あまりにも大きすぎる違和感である。
「ぐっ、う、い…たいっ、いっ…!」
激痛を伴う器官を逆流するとも同意のその行為に、クラウドはキツク目を瞑った。腕を縛られているから、せめてもの痛み緩和さえできない。身体のどの部位でさえも抵抗ができなかったクラウドは正にバレットにされるがままといった状態で、それは当然バレットに大きな満足感を与えていく。勿論バレットにとっての満足はそれだけではない、拒絶するそこに勃起したものを無理矢理捻入れることも満足の一つだろう。
軋むように捻じ込まれるもの。
それを張り裂けんばかりに受け入れるクラウドの身体。
狭い入口を無理矢理押し入れた為に裂けた肉が、血を滲ませていく。それにも構わずクラウドの下半身をガッチリと押さえ込みながら自分のものを埋めていったバレットは、きつい締め付けに顔を歪ませながらも奥底までを侵していった。
そうしてやがてお互いの肉がぴったりとくっ付くまでになると、ようやくバレットはその歪んだ表情に笑みをチラ付かせる。そして、自分の下で悶えているクラウドの姿をじっくりと見遣った。
そこにはもう、クールな素振りは微塵もない。
ただきつく目を閉じて荒い呼吸をしている姿がある。
「へっ…良い眺めだな」
呟いたバレットは、奥まで埋め込んだ自分のものを一気に引っ張り出した。
それに反応してクラウドが「うっ」と呻き声を上げると、その直後にまた一気にそれを奥まで差し込む。
「うっ、ぁああっ!」
裂けたそこがジンジンと痛みを響かせる中、とうとう激しく律動を始めたバレットにクラウドは声を荒げた。あまりに大きなその異物の出し入れに、クラウドのそこはその都度大きく収縮する。その上、奥底まで突かれる感覚はクラウドの性器をビクつかせていった。
「はっ、あ、ああっ、ぁああ…っ」
「コイツはすげえなっ…へっ、すげぇ締め付けてくるぜ…っ」
「やっ…あ、ああ…、はっ…んっ」
「気持ち良くて言葉も出ねぇか?あぁ?」
バレットの声が届いているのかいないのか、クラウドは喘ぎ声しか発さない。
ビクつく性器を晒しながら横に倒した顔は、目を閉じ口を半開きにさせている。
相変わらず勢い良く流れ出ているシャワーのせいもあってかその肌には汗が伝っており、特に仰け反らした首筋を伝う汗は妙に艶かしくバレットの目に映し出されていた。
その汗が、ぽたりぽたりと床に落ち、勢いの良いシャワーのお湯と共に流れていく。その様を目にしながらバレットは一層クラウドの奥を激しく突き、その身体に自分の興奮の全てをぶつけた。
勢い良く差し込まれる為にぶつかり合う部位の肉。
それが、パンパンと卑猥な音を響かせる。
空間に響き渡っていく音。
それらが沸き立たせる興奮に、バレットの脳も沸騰していった。