OK!GO!(1)【レノルー】

レノルー

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■SWEET●SHORT

どんよりルー様には最上級のおまじないを♪


OK!GO!:レノ×ルーファウス

 

柄にもない「おまじない」。
それでもコイツは、俺にとっちゃ捨てられないハイグレード。

 

 

 

気ままな俺の一日を覗きたいって?
ま、そうだな。じゃあ俺の「おまじない」は秘密ってコトで。ソレ鉄則。

俺には一日一日頑張ってく為のハイグレードな「おまじない」がある。っていっても間違えんなよ、これはそんじょそこらの嘘臭いマジナイとは違うんだぞ、っと。

じゃあ何かって?
それは俺の一日を覗けば一発了解なコト。ソイツはいっつも俺のポケットの中でぐっすりお休み中で、俺はそこにソイツがいるから頑張れる。ま、「おまじない」っていうより「お守り」って方が近いかも。

とにかく俺は、ポケットにソイツを入れ込んで、毎日元気に出勤ときてる。
だけどな、たまには俺だってヘコむコトもあるわけだ。

それがどーいう時かっていうと、惚れてるヤツがつれない時とか、惚れてるヤツが落ち込んでる時とか、惚れてるヤツが悲しそーな時とか…―――って、全部それか。

おいおい、俺もまったくヤキが回ったっての。

まあとにかくそーいう時は俺だってヘコむわけだ。好きなヤツなら、何とかしてやりたいって思うのは常識。

メモリ不足で起動不可能?だったら俺は増設メモリで起動補助。他のモンなんて強制終了してやるから心配ご無用。

…で、正しくそんな一日。

俺の惚れこんだ副社長はといえば、昨日までご機嫌満々笑顔連発だったのに、今日は何だか曇り空。一体何があったんだ?気になってしょーがない。

ツォンさんからの任務連絡に快適な返事を一つ、だけど俺の足は副社長室に直行で、こういう時俺は自分を誉めたいって思うな。タークスは好きだけど、仕事よりかは副社長。だってホラ、消化不良は仕事にも差し支える。

俺が副社長室に行くと、副社長はデスクに突っ伏して溜息なんか連発してた。
あらら、俺の前でソレは無いだろ?…いや、やっぱ良いや。それって信頼されてる証拠。

「暗いぞ、っと。どんより雲が浮いてるぞ」

「レノか…。もう放っておいてくれ、私の事なんか…」

そう言ってまたしても溜息一つ。
放っておけって言われても、そーは問屋が卸さないってな話だ。

だから俺は副社長の隣に構えると、その肩をゲットしつつ事情聴取。一体何があったんだ、ホシはどこだ、俺がとっちめてやるけど。

そんな頑強で頼りがいのあるSPの俺に向かって、副社長は溜息+一言。

「…仕事中だろう?さっさと任務に戻れ」

「はい、ソレ無理!今の俺の仕事は副社長の心の悩みを解す事だし?」

「…馬鹿じゃないか、お前」

心底呆れたようなその物言い、俺的には結構スキだけど。でも残念、今はパス。だって今はそれどころじゃない。早いトコ副社長のCPUを何とかしないと、俺の方がメモリ不足んなる。

Ctrl+Alt+Delete=Error×。

「まーまー。たまには良いんじゃない、俺を頼るってのも。意外なトコで悩み解消ってのもアリかもよ?」

「お前に悩みを打ち明けても解決するとは思えないけどな。…まあお前には関係ない話だ」

関係ナイ?
それこそ、そんなの関係ナイだろ?

「良いから良いから。物は試しで話してみたら?」

そう言うと、社長はいかにも訝しげな顔して俺を見てくる。あー恐い恐い、でもそういうのも割とスキ。困るんだよな、こーいう惚れた弱みってヤツはさ。

とうとうギブアップしたらしい副社長は、ヘルプ参照ってな具合にとうとう俺にソイツを打ち明けてきた。さて、じゃあその話ってのはどんなモンか?

「私なりにやっている事は色々あるが、どうもそれらは不評らしい。まあ主に親父にだけどな。私には副社長という肩書きだけあって、実行権がいまいち希薄だ。一体私の副社長という肩書きは何だ?」

「あー…」

俺は思わず納得。これは予想以上に重い話。
ま、でも俺はだからってギブアップはしない。だってこーいう時こそ恋人ってのは力になるモンなんだろ?だったら俺は助け舟。

肩書きは肩書き、じゃあ副社長って何か?そりゃ当然、副社長って仮面つけたルーファウス神羅殿に決まってる。って事は。

「副社長を休んでみれば?」

「―――は?」

「だから休むんだよ、副社長ってヤツを。たまには一日ルーファウスデーがあっても良いだろ?」

「…はあ…お前に話して損した」

副社長は俺の顔を見るなり、げんなりした顔してダウン。
おかしいな、俺ってそんなに変なコト言ったか?

だって毎日副社長じゃ疲れるに決まってる。俺だって、神羅から離れればレノ様に戻るんだからそれと同じコトだと思うけど。因みに今の俺は副社長専属レノ様、タークスの俺じゃない。

「じゃ、例ってコトで」

俺はそう言って、副社長の髪を鷲づかみ。それからソレをワシャワシャすると、副社長のビシッと決まった髪は一気に大雪崩に変身。
で、副社長の反応はといえば。

「なっ!ちょっとお前、何するんだ!!この阿呆~!!!」

―――――はい、当然お怒りモード。

大丈夫、コレ想定内。俺だって考えナシにBダッシュするほど馬鹿じゃない。
だから俺は予定通りニッコリ笑ってルーファウスデースタートをお知らせしてやるわけだ。

「はいOK!今日はコレで行くぞ、っと。副社長、髪下ろしてた方が良いのに。俺はコッチのが好み」

「誰がお前の好みなんか聞いてるかっ!この馬鹿!」

「…あんまり馬鹿馬鹿言ってると襲うぞ、っと」

「大馬鹿野郎ーっ!!!どうしてくれるんだ、この頭っ。これで今日一日過ごせって言うのかっ」

台無しだとかもう無理だとか言ってる副社長の隣で、俺ときたら至極満足満面スマイル。一体ソレのドコが台無しなんだか。もう無理どころかコレカラ始まるんだし。

そうそう、副社長休業のルーファウスデーはこれからだぞ、っと。
で、手始めに何をするかっていうと。

「折角俺もいるんだし、こっからは甘いトークってコトでどうかな?」

「はあ!?」

まだ怒り止まない副社長、俺の言葉にブチキレ寸前。だけど俺は全然OK、怒ってもスキだし、ルーファウスデーは絶対成功するって分かってる。それは俺の第六感。だけどソイツは完璧すぎる感覚。

俺はまず副社長を宥めて、それから紙切れとペンを要求。副社長は首なんか傾げながらも俺の要求をビシッときいてくれて、俺の手元には紙切れとペンが無事着。さて、こっからがレノ様の腕の見せ所。見ててくれよな。

「これをこうしてっと…」

「???」

俺は副社長の前で、落書きをし始めた。そりゃ勿論、ペンで紙に書く落書きだ。だけどコイツは只者じゃない、強いて言うなら曲者。落書きっていってもヘタレ絵なんかじゃなくて天下一品のヘタレ字。コイツはマジでレア。

だけど残念、副社長にはまだ伝わってないらしい。

「…何書いてるんだ。私を馬鹿にしてるのか?」

「全然!馬鹿にするどころかスゴク応援してるけど。見て分かるだろ?」

「見て分からないから聞いてるんだろう?」

「おっと、ソイツは参ったな。…じゃ、コイツもオマケ」

俺はオマケにもう一つヘタレ字を追加。で、とうとうその落書きはコンプリート。

さてと、コレがどういう効果を発揮するか?

それはもうレノ様が実証済、だってこれは俺の「おまじない」。
俺はその落書きを副社長の前にデンと突き出すと、ニッコリ笑って言ってやった。もう大丈夫だってコトを。

「コイツを常時装備すると、意外な効果があったりするんだぞ、っと」

「―――――は?」

何だそりゃって顔の副社長。そりゃそうだ、説明しないと使用法も分かりゃしない。ってコトで俺はまたしてもヘルプ君。

 

 

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