ｘルーファウス

20：1022号室の記憶［１］ 　　 　 密だったスケジュールをこなして、やっと帰宅をしようと思ったのは、もう夜も11時を回ったときのことだったと思う。 社屋は既に消灯しており、タークス本部だけがぼんやりと明かりに包ま...

19：雨音を聞きながら… 　　 　 大切なものが手に入らなくて、膝を抱えている。 間違った選択をしすぎて、立ち止まっている。 それでも「明日」はやってくる――――そう、容赦無く。 　 病める時も、...

18：不義の匂いが連れてきたもの 　　 　 携帯電話のディスプレイにメール着信を知らせるアイコンを見つけたとき、ルーファウスはそれがツォンだと思った。だから、最初はどうしてもそれを見る気になれなかった。 あの日以来...

17：本領発揮 　　 「俺さー、本当は“こういう人間”なんだって。ツォンさんは俺の事を割り切り人間だって思ってるかもしれないけど、それは真っ赤な嘘。本当は割り切りたくなんてないんだよ。それが俺の本領ってヤツらしい」 「レ...

16：呼び出し 　　 　 無事任務遂行。 ある一部の指示以外は全て完璧に終わり、ツォンは夕暮れ時の神羅で業務報告書を書き込んでいた。先日までダウンしていたシステムはすっかり回復し、今ではパソコンから業務報告が出来る...

15：エリートとロクデナシ 　　 やがて二人は、一緒に暮らすようになった。 しかし何故か男は、入籍を拒んだ。 その事実はマリアの母を悲しませたが、それでも良いと彼女は頷いたものである。どうせ過去に拒否されているのだ...

14：複雑な関係図 　 　 薄暗い店内で、お世辞にも綺麗とは言えない笑い声が響く。 CLUB ROSEではその日も常連客が楽しそうに笑いあっており、その声は店内を活気づけている。 本来なら艶かしい女性が武器に...

13：かつての誇り 　 　 安全装置を外し、引き金を引く。 その引き金を引けば、もう後戻りは出来ない。 　 パアアアン―――――――！ 　 瞬間、何かが破裂する。 　 　 ...

12：相棒の分析 　 今回の任務は独りずつ配置されていたが、レノは指示された場所には向かわずルードと行動を共にしていた。 ルードは任務放棄して自分についてくるレノに何度か「戻れ」と言ったが、レノが一向にそのそぶりをみせな...

11：自己嫌悪の朝 　 　 “ねえ。どうして人はいつも、間違ったものを選んじゃうんだろうね” “何で大切なものはいつも、手に入らないんだろう” 　 ―――――答えなんて既に出ている。 大切なものが...

10：帰れない夜 　 「……幸せ…」 そう口に出して呟いてみる。 それでもそれは単なる言葉でしかなく、まるで実感も何もない。それよりもむしろ薄っぺらい戯言のように感じられる。 幸せとは、一体何なのだろうか。 ...

09：愛情に近い同情 　 　 HOTEL VERRYから比べれば随分と質素なホテル。 やはりミッドガルにあるが、こちらは外れにあり、HOTEL FIRSTという名称が付けられていた。名称通り用途としてはビジネスホテ...

08：届かない呟き 　 「大切なものは、いつも私から離れていくんだ。いつも私を置き去りにして…いくんだ」 「へえ…」 特別思い入れるでもなくルーファウスの言葉に返答をするレノは、ルーファウスを抱きしめながらも102...

07：ペースの乱れた夜 　 　 甘ったるい匂いが立ち込めていた。 鼻につく、やけに甘いチョコレートのような匂い。それはどこか遠い国の煙草の匂いで、吸ってしまうとそうでもないくせに、香りだけはやけに甘ったるく感じられ...