Seventh bridge -すてられたものがたり-(19)【ルドレノ】

*Seventh bridge

Seventh bridge -すてられたものがたり-

「医療制度が出来たらさ…法の下に人殺しが出来るんだって。生きてる資格が無い奴だから実験台にできて一石二鳥なんだって。お偉いさんはそう言うんだよ。必死にさ、すっごく必死に本気で戦ってるアイツラに対して、平気でそんなこと言えんだ。許せなかったよ、俺は」

「ああ…」

「俺はアイツに復讐して欲しかったんだ。上の奴らとか汚い奴らにムカついてたってのもあるけど…でも、タークスの時初めて会った時からアイツはずっと変わってなくて、一心に自分の信念貫いてた。変わってないなって思った。それが俺には何だか――――羨ましかったのかも」

「羨ましい…か。分からないでもない」

ルードは端的にそんな風に同意する。

ルードはヤンと会ったことがなかったが、レノがヤンに対して抱いた気持ちは、ルードがレノに対して抱いていたものと同類のものだった。だから、その羨望の情は何となく理解ができるのである。

変わってしまったものを憂い、恐らく多少の美化を伴うものの過去にあった何がしかに思いを馳せる。過去とは取り戻せないものの代名詞だ。

そこにあったものを取り戻すには、今一度、今現在という時間の中でそれをやるしかない。仮にそれが、何かを犠牲にすることであったとしても。

――――――そういう決断を、出来る人間と出来ない人間とがいる。

その決断をしなければ何も失わずに済むのだから、大抵はそれは夢想で終わることだろう。しかしレノやルードやツォンがそうしたように、過去の信念を取り戻す者もいる。彼らは失われたことに気づき、それを憂う心を有していた。

気づかない間に安穏とした生活の中で必要性の無さのために失われていったものは計り知れず、しかし大概の場合は目前の事象に囚われ失われたことにすら気づかない。

また、それとは別に、過去から続く信念を変わらずに貫いている者もいる。ヤンのように。

志を失った人間の多くは、志を犠牲にして社会への平安を手に入れる。それが故に志ばかりが高く不安定でしかない者をさも当然のように罵る。がしかし、そういう場合の罵りの大抵は羨望に他ならなかった。ただ、他人に羨望を向けることは自分を貶めること、ひいては折角手にいれた平安を否定しかねないことを理解していたから、無意識にそれを畏怖し排斥しようとする。他人への罵倒は己を守護するためだけの行為だ。

しかし、その羨望を認めれば、志は取り戻せる。

かつて抱えていた信念を手に掴める。

但しそこには犠牲がつき、だからこそ痛みを伴う―――――――特にその信念が世の中に反するものであれば尚更だろう。

少なくともレノにとっての信念はそういう痛みを伴っていた。そして、レノが助けたヤンについても同じである。高圧的な組織を相手にすることは、どんな素晴らしい信念を持っていたとしても多勢に無勢と同じ状況だった。何しろ相手は人間一人を星の上から消し去ることくらい何とも思わないのだから。

そして、それらの行動とその理由の意味を知ったルードやツォンもまた、大きな敵を前に不利な状況で戦うことを余儀なくされたのである。

勿論それは自ら望んだことだったけれど。

「俺は良くタークスの時のことを思い出してた。ツォンさんとかルードは警察機構で上手くやってて、俺だって上手くやってけてるんだってことを証明したかったけど、やっぱり無理だった。俺はさ、自分の考えを貫いてやろうって思いながらも、結局誰かが考えた人生ゲームの駒になってた。はい良く出来ました、はい昇進です、はい熱くなるのはやめましょう、ってさ。――――あのころの俺たちは、みんながみんなぜんっぶ違う考え持ってたけど…でもさ、みんな必死だっただろ。本気だったし一生懸命だった。タークスが好きで、誇りを持ってて、胸張って堂々としてた。誰かの真似なんかするまでもなく、ちゃんと自分のやり方を持ってた。そんな俺がさ、よくよく考えたら、誰かの命令どおりに適当に仕事やってさ、適当にサボったりしてんだぜ?何だよコレって思った。俺って本当にこんなことしたいんだっけ?ってさ。変わってないつもりでも、やっぱ俺は堕落してたんだ。だけどアイツは違ってた。あいつは不当な扱い受けて独房ん中にいるのに変わらずに本気ってやつを持ってた。アイツは俺が望んでたモンを持ってたんだ」

自分が忘れていた信念を持ち続けていたヤンだからこそ、その信念を尊重したかったんだ、とレノは言う。

ヤンや、ヤンの市民団体の構成員を脱獄させることは当然ながら犯罪だと分かっていたし、プリズン管理局の人間がそんなことをすればどうなるかなどということは明白なことだった。

けれど、そんな結果が見えていても尚、そうせざるを得なかったところにレノの気持ちが隠されている。レノは、手にいれた平安を犠牲にして思い出した信念にかけたのだ。

とはいえ、仮にレノが警察機構に捕まりその動機を尋問されたとしても、相手はこの動機にうんとは言わなかっただろう。その理由はあまりにも抽象的だったから。

「協力をして…それで、お前は納得できたか?」

告白のようなレノの言葉に、時間を置いてからルードがそう尋ねる。それは一見すると攻め立てているかのように聞こえる言葉であったが、実際にルードの口調はそういう刺々しいものではなかった。むしろその声音は実に穏やかである。

レノは静かに首を傾げた。そして。

「さあ…どうかな。もう自分でもよく分からない。復讐が叶ったことは単純に嬉しいけど…」

「…ヤンのことか」

ルードのその一言に、レノは少し驚いたような顔をする。が、すぐに仕方ないというふうに笑うと、ゆっくりと二度、頷いた。

「アイツは長年の夢を叶えたけど、死んだ。俺はあいつの信念が好きだったし夢を叶えて欲しいと思ってたけど、アイツを救うことはできなかった。―――――医療団体の建物で爆破したの……ヤンの“体”だ」

「体?…まさか、膨張剤の…?」

「ああ」

ヤンの体は膨れすぎて、監視カメラすらヤンの体で押しつぶされたのである。だから画面は真っ黒で肝心のところが映ってない。

ヤンは正に、自分の“体をはって”復讐を果たしたのである。しかも不当に与えられた体で。

「俺が望んでたのはさ、結局アイツが死ぬことでしかなかったんだよな。俺が本当に望んだのはアイツの信念だけど、でも、世の中から見りゃそんなの分かるわけない。だって世の中にとっちゃアイツらは悪い奴なんだ。犯罪者なんだ。犯罪者がまた犯罪を犯したってくらいにしか思われない。夢と引き換えに無くなったアイツの命だって、誰かにとっちゃ世間話のネタでしかないし、飯食って寝りゃ忘れるくらいどうでも良いことなんだ」

俺が望んでたのは、結局そんなことでしかなかったんだ。

レノはそう言うと、今度こそ大きなため息をついた。

それを静かに聴いていたルードは、いつだったか、酒場で聞いた言葉を思い出していたものである。その酒場の主人は、ルードに早く犯人を捕まえて欲しいといっていた、物騒だからと。テレビやラジオが報じるのは必ずしも真実ではなく、そこには巨大な権力を背景とした隠蔽が存在している。だから誰も真実を知らぬままに、さもありなんとしたり顔をすることになる。この滑稽さを、ルードはここ最近嫌というほど思い知らされた。

それに、レノの言うことはルードにとって痛いくらいに理解できたものである。なぜならば、正にそれと同じことを思っていたから。

レノの捜索をする間、確かにそんなことを考えていた。

誰もレノの真実を知らない、と。そして、覚悟の上であっただろうレノの行動について、世間では話のネタにしかならないのだろう、と。

誰しもが、自分が受けた痛みしか理解できないのだ。この世の中は。

「前の俺だったら、きっと断言してたって思う。“命なんか無くなっても信じるものを貫く”って。いや、今も俺はそう思ってんのかも。但しそれは俺についてだけ。―――実際ヤンがそれを決行したらさ、何だかやっぱり辛かった。自分が死ぬのはそんなに怖くないけど、誰かが死ぬのはイヤなんだ」

「しばらく会わない間に一段と身勝手になったな」

「かもな」

二人は少しだけ笑いあった。寂しく静かな部屋の中で。

こういう静かな雰囲気は懐かしい。思えば、神羅崩壊後それぞれが違う仕事についてからは、こういう静かな調子で話し合ったことはなかった。今この場にある雰囲気とは、神羅時代にあったそのものだったかもしれない。

「…プリズン爆破も、お前の逃がした囚人達がやったのか」

話を元に戻すようにそう言うと、レノは「多分」と言いながら首を縦に振った。そして、これで復讐は終わったんだ、と結ぶ。

復讐に関わった脱獄者…警察機構の情報だとヤンを含めた70人だが、この全てが爆破に巻き込まれて死んでしまったか、また捕まってしまったのか、その辺りについては最早分からなかった。仮にまだ生きて潜んでいる脱獄者がいるとして、彼らがどうして過ごしているのかは分からない。が、ともかく警察機構が崩壊したことは幸いということになるだろう。

爆破されたのは、医療団体、プリズン管理局、警察機構の3つ。これらはそれぞれ本部というブレイン的な部分を破壊されていることにより、その機能がほぼ破壊されたことになる。特に警察機構は地域を支配しているわけではなかったからこれが強い。実質的に完全崩壊と同様だ。

しかしここで問題になるのは、前者2つだろう。

医療団体本部は各地にある医療施設を纏め上げる存在だが、医療制度は全土に施行されたわけで、この制度は依然として残されているのである。つまり爆破をしてもこれは改正になるわけではなく抜本的な解決がそこにあったとはいえない。レノの空虚は正にここに起因しているのだ。

また、プリズンに関してもこれは同じである。全てのプリズンが破壊されたわけではなく、あくまでも管理局本部が破壊されているのだ。確かに一時期は混乱になるだろうが、それぞれのプリズンが健在であれば基本的には問題がない。

そして一番の問題となるのが、何ら打撃を受けていない“黒幕”とも呼べる研究団体だろう。

レノとルードは、既にこの真実に行き着いていた。

一連の事件の発端が“医療制度”にあり、その医療制度の制定をそそのかす原因となったのは“研究団体”なのだと。

勿論、研究団体がプリズン管理局と手を組んだのには理由があり、それは人体実験という恐ろしいものだったわけだが、この一連の事件に関していえばその核は俗称“膨張剤”にあるといえるだろう。

「ヤン以外に膨張剤を投与された囚人はいたのか?」

「いや、体に異常があったのはヤンだけだった。多分、第一の実験体だったんだと思う。プリズンの幹部には反対派もいたけど大体は消されたみたいだ」

プリズンでの事実に、ルードは「そうか」と頷く。反対をした人間たちが消されてしまうその構造が憎らしいとしか言いようがない。そういうものを監視するのも警察機構の仕事ではなかったか。

そう思うとルードは、レノが絶対的に拒否した警察機構という組織に疑問を覚えずにはいられなかった。尤も、その組織はもう無い。

「…医療制度の改正は考えられない上に、肝心の研究団体は無傷で疑われる余地すらない。このままじゃ無駄死にだ。…お前はどう考えてる?」

そう問うルードに、レノはただ一言こう言った。

「さあ、どうするかな。でも――――復讐は“終わった”んだ」

「満足したのか」

「俺はアイツラを逃がした時点で満足だったから」

それ以上の行動は、全てが全て、それぞれの人間が判断し行ったことである。レノが行ったのはただその門を開くということ、その足かせを外すということ。それだけである。それはヤン達市民団体の信念が、レノの思うところの信念と一致したから発生したものだ。

復讐の方法は多分、幾つかあっただろう。

しかしヤンたちは、かつて神羅に対してそうしたときと同じように戦うことでそれを示した。しかもそれは捨て身の戦い方で。

レノはその復讐方法を推奨していたわけでもないし、そもそもどういった方法で復讐するかなど知らなかった。何しろレノは仲間ではなく、協力者に過ぎなかったのだから。

「――――でも。研究団体は許せない」

「…やるつもりなのか」

慎重に静かな声でそう問うたルードに、レノはただただ押し黙っている。回答は得られない。

レノ自身は、何がしかの直接的被害を蒙ったという履歴が一切ない人間である。だから、今回の件で研究団体に嫌悪を抱くことはあっても、それに復讐をするとなるとそれは基本的にはお門違いということになるだろう。

もしここでレノが復讐というものを決意するならば、それは純粋な正義のためということになる。それでなくばエゴイズムのためだろう。

レノは隣に座るルードに向かって犯人がそうするように両手を挙げると、

「今の俺ってどう?いかにも殺しやすそう?」

そんなことをおどけた口調で言った。

どう返していいものか考えあぐねているルードを前に、レノはぱっと両手を下ろし、気だるそうに天井を見上げる。煤けた天井を目にしながらレノは静かに口を開く。

「俺さ、最初プリズンの武制部隊ってトコにいたんだ。だけどその後上の方に異動になって。その間に俺の腕は完璧なまったよ。今の俺には武器も無いし。完璧丸腰だろ?」

「レノ…」

「俺は別に正義のヒーローとかになりたいわけじゃない。たださ、一生懸命頑張ってた頃の自分になりたいだけなんだ。それはさ、誰かの正義じゃなくて俺の正義を貫くってコト。お前なら分かるだろ?」

「ああ…そうだな」

「例えそれが世の中に逆流するコトだとしても…な」

「……」

ルードは最早何も答えなかった。

レノは直接的な答えを口にすることはなかったが、それでもその抽象的な答えからルードはレノの意思を読み取っていたものである。

ルードの脳裏には、ふいとツォンの姿が過ぎっていた。ツォンは自らに何か利益があって警察機構を爆破したわけではない、何しろ自らがそれによって死んでしまったのだから。勿論、誰かの利益のためでもない、何しろ世間は警察機構の腐敗した権威を知らなかったのだから。

つまり彼の求めたものは、自らの正義だった。

そして、その正義の関わる大切な仲間を助けることだった。レノと、ルードを。

――――――――結局、そこに大切なものがあるのだ。

「さて…っと!そういえばココってどこなんだ?もしかしてまだあの農村の中?」

すっと立ち上がったレノは、一つ大きな伸びをしてそんなことを問う。確かに、起きたばかりのレノにはまだ何もこの地の情報が無い。

「いや、此処はあの農村から随分と離れた町だ。ここら一帯は突然工場が建って汚染被害が出たんだそうだ。それで、ほとんどの住民は去っていったらしい。だから町自体寂れている」

「なるほど。隠れるにはちょうど良いってわけだ。にしても、良く俺のこと見つけられたな。確かトラックで…」

「廃屋にツッコんでたのを見つけたんだ、不幸中の幸いだった。心得があるという人間に診てもらったが、取り敢えずは心配ないらしい。まあ、自称元医者、だがな…」

「そっか。――――あ!そうだ、俺の積んでたラジオと本、知らないか?」

レノは突然思い出したというふうに、そんなことを聞き始める。例の、トラックに積んでいた荷物である。

ルードはその荷物類に関してはトラックから積み降ろすことはしなかった。本来ならば、箱にぐるぐる巻きにされていた男も連れてくるべきだったのだろうが、それもしていない。とにかく優先すべきはレノだったからである。

ルードがそれを告げると、レノは少し残念そうな顔をしつつも笑って「ありがとう」と礼を述べた。それを受けて無意識にルードも笑顔になる。

「シャワーでも浴びたいな。まあそんな贅沢も言ってられないか」

「隣の家の主人に言えば貸してもらえる。…まあ隣といっても大分歩くが」

ルードは立ち上がると、どこからか真新しい服を上下一対持ってきて、それをレノに投げ渡した。無事にキャッチしたレノは、服とルードを交互に見やっている。

「着替えが無いと不便だろうと思って買った。…どうやら俺の金は引き出せるらしい。お前は抑えられてるだろうけどな」

「なるほど。警察機構がぶっ飛んだから今はもう安心ってワケか。まあ、俺は一生犯罪者の烙印からは逃れられないだろうな」

レノは落ち込むふうでもなく普通にそう言うと、無地で面白みも何も無い服を手にしながら、家を出ていこうとする。ルードは無言でそれについていき、隣の家をナビゲートしていった。ルードの指摘通り、隣の家というのは随分と遠い。

そこに辿り着くまで、ルードとレノの目に映ったのは、衰退の一途をたどるばかりの寂れた町の風景だった。使われなくなった家屋は風化し、緑に塗れている。そういった悲しい風景のそのまた向こう側には、綺麗にキッチリと大きな建物が並んでいた。

ルードが口にしていた「工場」というのがそれである。

「なあ、あれって何の工場なんだ?」

道中、レノが何気なくそう聞くと、ルードは少し黙ってから「さあ」と口にした。それはどうも知っているふうな調子だったが、レノはそれ以上追求することはしない。

やがてたどり着いた“隣の家”は、この地域にしては随分と綺麗に整えられていた。まあそれも当然だろうか、多くの人が逃げていったこの土地にそれでもまだ住み続けているのだから。

その家の住人は、強面だったが気の良い男だった。

屈強そうなその体は、かつてのヤンのようにがっちりとしており、その風貌からしてもこの土地に残り続けたその性格が窺える。

男は、事前にルードから事情を聞いているのだろうか、シャワーを借りたいという一言だけですぐに了承してくれた。その男が何者かもわかっていないレノは、一体どこまでの事情を話したのかとルードに尋ねる。するとルードは、自分たちには家が無く、少しの間泊めて欲しい、ということだけを話したという。同じ屋根の下にいることは万全を期すためには危険でしかないと思ったルードだったが、それを頼むまでもなく、主は隣の状態の良い廃屋を使えばよいと言ってくれたらしい。それは二人にとってラッキーだった。

「じゃ、入ってくる。お前、覗くなよ」

「馬鹿、なに言ってるんだ」

「嘘、嘘。冗談だって」

バスルームの前でそんな軽いやりとりをして、レノはその奥へと消えていく。

ルードは「全く」と呆れたような言葉を口にしながらも、そんな軽口を叩けるそのことがとても嬉しかった。こんな些細なことがこんなにも心を満たしてくれるなんて。そう思いながら。

そんなルードを残してバスルームに入り込んだレノは、服を脱ぐ前にそのポケットの中からあるものを取り出した。それは、黒く丸い塊。

「……」

“もし捕まりそうになったら、その時はこれを飲め”

それは、大脱走を図った直後に配給されたものである。義勇を貫くための常套手段。

“生きる限り…俺達は戦い続ける…復讐するんだ、アイツラに……”

あのくりんとした目の巨漢、ヤンは、そんなふうに言っていた。

ヤン達が、協力者でしかないレノにもこの黒い粒を配給したことは、何も秘密の漏洩を防ぐためなどではない。何しろヤン達に秘密などないし、あるとしたらばそれは公表されて然るべきものばかりである。

つまりこの黒い粒をレノが有するその理由は―――――。

「…なあ、俺の信念は認められたのか…?」

世間に逆流し、自らの貫いた道が正しいことの、証明だった。

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