Diary of CLOUD / 待ってて下さい
馬鹿みたいだ。
今までのは一体何だったっていうんだ?
俺は、今日も訓練をサボって、思い出のあの倉庫に来ている。
いつだったか、あなたが俺を縛りつけたあの錆びた剣がまだ転がってた。
俺は懐かしくなってそれを持ち上げる。
確か切れないこともないって言ってたよね?
俺はそれで指をなぞってみた。赤い血が、ちょっと滲む。
俺はおかしくなった。
だって俺は生きてるらしいんだ。血が流れるって事はそういう事でしょ?
ねえ、誰か教えてよ。
あれは夢だったの?
あれは俺の妄想だったの?
今じゃ誰も俺を暴行する事もないし、敵視もしない。
セフィロスは俺と接触すらしない。会いもしない。
俺の身体はあれからウズウズしてるってのに、誰も俺も犯そうとしない。
まるで何も無かったみたいに、神羅の中は静かだった。
ザックスは俺に言ってきた。
良かったな、って。
何が?って俺は可笑しくなった。
今でも大切な親友なのに、俺はザックスを軽蔑してた。
軽蔑されるのは俺の方だろうにね。
俺はあの人に会いたいのに会えない。
あの人とセックスしたいけど、できない。
辛い。
分かる、この辛さ?
そんな俺に向かってザックスは笑うんだ。良かったな、って。
…俺とセックスしたくせに。
神羅からの処分の話は、結局水に流れた。
体力が戻ったかららしい。そりゃ当然だよ。
特別に定期健診を受けるようになった俺は、その度に状態が悪化してると言われた。それは身体じゃなくて頭なんだって。
過度のストレスとか、異常とか何とか言われたけど、俺にはどうでも良かった。
俺は俺のことなんかどうでも良い。
救ってくれるのは医者じゃない。
“あなた”だけ。
そんな“あなた”を消した、“アイツ”が――――。
アイツが、許せないんだ。
セフィロスが、許せない。
今じゃ皆に慕われて、優しさなんか振りまいてる。
最低だよ、アンタは。
アンタなんか要らない。
アンタなんか認めない。
アンタなんか許さない。
アンタなんか消えれば良い。
アンタが―――憎い。
憎い。
憎い。
憎い。
だからさ、俺は思うんだよね。
そうでしょ?
そしたら“あなた”は返ってくるでしょ?
皆あのニセモノに夢中なんだよ。
でも俺は違うよ。俺だけはあなたを愛してるから。
俺だけ、俺だけ、俺だけ、俺だけ……。
俺、決心したんだよ。あなたの為だけに。
ニセモノばっかチヤホヤさせて悔しいでしょ?
あんなの、いなければ良いよね?
俺は、正しい。
俺は、あなたを取り戻す。
あなたを奪い去った、あのニセモノなんて消えればいい。
待ってて下さい。
あなたを取り戻したら、すぐにでも俺を壊して下さい。
――――――めちゃくちゃに。
だから。
俺は、絶対に。
―――――――アンタを殺す。
END
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