Diary of CLOUD(10)【セフィクラ】

*Diary of CLOUD

Diary of CLOUD / そんなのは違う

  

俺はベットで横たわったまま、あの人の声を聞いていた。すぐ後に入ってきた医者と何か話している。

聞きなれない言葉が並んでる―――ねえ、何の話をしてるの?
ううん、それより…さっきの態度は何なの?
あなたらしく、ないよ。

 

『やっとコントロールが上手くいくようになってきた』

『そうか。宝条は何と?』

『…多分、今の状態のまま、これからはいけるだろう、と言っていた』

『成程。良かったな、セフィロス』

 

何の話…?

コントロールって何の事?

俺には全く意味が分からなかった。ただ思ったのは―――そこにいる“あなた”は、とても小さく見えるという、事。あの強い棘のような目が無い。

何処?

あなたは、何処にいるの?

確かに目の前にいるその人は、とても凛としていて綺麗で、俺の憧れてた人に違いなかった。

だけど違う。違うんだ。

そんな優しそうな顔を見てると、俺は気分が悪くなるんだ。ねえお願いだから、いつもみたいに冷たくしてよ。

 

『それで、今までの事は?』

『いや…あまり良くは―――』

『だろうな。しかしその方が良いだろう。気付かれる前に、夢だとでも思わせてしまえば良い』

 

訳の分からない言葉は暫く続いてた。そのちょっと後になって、あの人の目が俺の方に向けられる。

やっぱり、違う。

あなたは俺の方に歩み寄って、こんなふうに言った。

 

『お前――あの日、暴行を受けてた奴だろう?』

 

え?

俺はビックリした。何で知ってるんだ?
だってあの時あの場所にいたのは…。

戸惑う俺に、あなたはさも優しくこう言う。

 

『心配するな。あいつらは処分にした。…災難だったな』

 

俺の頭は混乱した。

何を言ってるんだ。あなたの言ってる意味が分からないよ。俺に憐れみの言葉なんかかける必要ないのに。どうせ仕方無いことなんだ。

そう思う俺に、あなたは最大の裏切りの言葉をかけた。

 

『俺が見つけて、良かった』

 

何だって?

“俺が見つけて”?

じゃあ、助けてくれたのは、あなた…?

 

俺は思い返していた。

意識が朦朧とする中で俺を助けてくれた、あの凛とした声。

 

あれは、あなただったの?

信じられない、信じたくない。

だって、そんなのは違うよ。そうでしょ?

あなたが俺を助ける?

 

 

俺は割れる程、頭が痛くなった。

 

  

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