Diary of CLOUD(2)【セフィクラ】

*Diary of CLOUD

Diary of CLOUD / ソルジャーの精神

 

今日の訓練は散々だった。

ソルジャーになりたいなら、これくらいパスしろという項目はいくつかあるけど、

今の俺には到底クリアできるとは思えない。

正直ソルジャーってのが俺に向いてるかどうかといえば、そうじゃない気もする。

 

『精神を磨かねばならん』

 

いつか情事の合間にあなたは言っていたよね?

精神、俺には分からない。

精神が強いってのはどういう事だ?

人の死に耐えること?

人を殺すことに何とも思わないこと?

あなたの命令に「はい」と言って、あなたを満足させる為に羞恥心さえ捨てること――――?

俺には、分からないよ。

 

渡り廊下であなたとすれ違って、俺はあなたを呼び止める。

身分違いだって?

分かってる、そんなこと。

今夜、会って下さい。

俺がそう言うと、あなたはさも可笑しそうに言う。

 

『そんなに好きか?』

 

あなたの言おうとしてることは分かってる。

どうせ又、俺の事を淫乱だとか思ってるんだ。

だけど俺はちゃんと聞いてみたいんだ。

「ソルジャー」ってことについて。

 

やっぱりいつもの場所で、今日は俺が誘った「あなた」が待ってる。

あなたは俺がセックスする為に呼び出したと思ってるみたいだけど、違うんだ。

倉庫の中で、俺はまずそれをあなたに言わなくちゃいけない。

 

『ソルジャーの精神?』

 

俺の言葉にあなたは凄く嫌そうな顔をしてる。

そんなに嫌な話題だった?だってあなたはソルジャーの中でも一番なのに。

それとも静かに抱かれてた方が俺には合ってるとでもいうのかな。

でもあなたは意外と誠実だね。

ちゃんと答えをくれる。

 

『本気でソルジャーになりたいなら、死を恐れない事だ』

 

ああ、あなたに似合う言葉だよ。

 

『そう、例えば…』

 

そう言いかけて、あなたは倉庫の中にあった錆びた大剣を振り上げた。

そう、俺に向けて。

心臓が破裂しそうだったよ。

ほんとに寸前で止めて、それはあなたの腕が良いのは認めるけど、

やっぱり死ぬのは怖いよ。

 

『今、死を恐れただろう?甘いな』

 

普通だよ、それが普通だよ。そう言いたいけど、言えそうにもない。

だって俺から聞いたんだ。ソルジャーの精神ってやつを。

でもきっとあなたは言うんだ。

ああ、ほら。言った。

 

『お前はソルジャーにはなれんな』

 

そうかもね。

あなたは無造作にその剣をしまおうとして、何か思いついたように俺を見た。

そういう時、大体よくない事なんだ。分かってる。

その剣で何をしようっていうんだ?

あなたは笑って、その剣を床に突き刺した。

 

『錆びてはいるが、切れないこともない剣だ』

 

そう言いながら俺の手をとって、その剣に縛り付けた。

それは丁度、刃の部分。

 

『こうして欲しかったのだろう?屈め』

 

誰かが見たら失笑しちゃうんだろう、こんな姿。

俺は言うとおりに前かがみになって、犬みたいに尻を突き出す。

どうせあなたのことだから、慣らしもしないで強引に挿れるんでしょう?

俺は剣に繋がれてるけど、それは全然頼れるような代物じゃない。

痛みとか快感とかにちょっとでも動いたら、俺の腕は切れちゃうんだろうな。

でも大丈夫。俺はあなたのせいになんかしないから。

安心してよ。

 

俺の腰を荒く持ち上げながら、あなたは言う。

いつもの事だけど、おねだりしろって言う。

そう言ったらどうなってしまうんだろう?

俺の手首が切れたりしたら、あなたは介抱してくれる?

 

いや、しない。

絶対、しない。

 

『ソルジャーになりたいなら、このくらいの事に怯えるな』

 

相変わらず不敵な笑いなんか浮かべて、あなたは俺の言葉を待ってる。

これくらい?

でも俺は怖いよ。

この思考が無くなったらなんて考えたくないし、それに。

 

『最悪の場合でも、親には名誉の死とでも言っておいてやる』

 

俺は絶句する。

分かってたけど…それでもちょっとくらいは期待したかった。

あなたは、俺が死んでもどうでも良いんだね。

悔しい。だけど、それでも言えない。

だからせめて、俺は耐えるんだ。絶対、耐えるんだ。

だからまずはあなたに言わないといけないね。

 

『挿れて下さい』

 

あなたはやっぱり最高級のソルジャーだよ。

 

俺はソルジャーになんか、なりたくない。

 

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